実業家500人に聞いた「この人と仕事がしたい」と思わせる条件

ビジネスの世界で「一緒に仕事をしたい」と思われる人になることは、単なるスキルや知識だけの問題ではありません。

私はこれまで15年間の商社勤務と、その後の取材活動を通じて500人を超える実業家と対話してきました。

そこで見えてきたのは、肩書きや学歴、派手なプレゼンテーション能力よりも遥かに根本的な「信頼の条件」の存在です。

「この人となら困難も乗り越えられる」と思わせる人には、世代や業界を超えた共通項がありました。

本稿では、経営者たちの生の声から浮かび上がった「共に仕事をしたい」と思われる人材の条件を、私自身の経験も交えながら紐解いていきます。

特に昨今のビジネス環境の激変を経て、経営者たちの「信頼できる仲間」の定義も微妙に変化しています。

この記事が、ビジネスパーソンとしての自己成長の一助となれば幸いです。

第一章:信頼される人間関係の築き方

「数字の背後には必ず人がいる」—これは私が商社時代の上司から教わった言葉です。

どんなビジネスも最終的には人と人との関係に帰結します。

タイの食品加工会社と合弁事業を立ち上げた際、何度も訪問を重ねた結果、現地オーナーから「鈴木さんは唯一、私たちの工場の従業員全員の名前を覚えている日本人だ」と言われました。

それがきっかけで信頼関係が深まり、アジア金融危機の荒波の中でも協力して事業を継続できたのです。

表情・姿勢・第一印象が語る”本気度”

「最初の5秒で、その人が本気かどうかはわかる」と語るのは、老舗旅館の三代目・佐藤氏です。

彼によれば、表情の豊かさ、視線の合わせ方、握手の温度感など、言葉以前の部分で人は判断しているといいます。

特に注目すべきは「笑顔の質」です。

社交辞令の表面的な笑顔と、心の底から相手を尊重する笑顔は、相手に伝わる温度感が全く異なります。

「緊張していても構わない。むしろ、緊張している方が本気度が伝わる」と、ある製造業の社長は言います。

姿勢の正しさも重要です。

背筋が伸びていることで「誠実さ」が、適度なリラックス感からは「自信」が伝わります。

受付・会議室・社内文化から見える人間性

私は取材の際、必ず会社の受付から観察を始めます。

「会社の本質は、一番目立たない場所に現れる」というのが私の持論です。

ある成長企業の受付には、「お客様の靴を揃える係」というポストがありませんでした。

「なぜですか?」と社長に尋ねると、「うちでは全社員が自然に来客の靴を揃えるからです」という答えが返ってきました。

会議室の片隅にあるゴミ箱、トイレの清潔さ、社員食堂の雰囲気—これらはその会社の「見えない文化」を物語ります。

同様に、個人においても「他者への小さな気遣い」が人間性を表現します。

商談後のコーヒーカップを下げる行動、エレベーターで相手を先に案内する仕草、メモの取り方—これらは無意識の習慣であるからこそ、その人の本質を映し出すのです。

「相手の懐に入る」ための傾聴力とは

「最も印象に残る人は、最も多く話す人ではなく、最も深く聴く人だ」と言ったのは、IT企業の女性経営者です。

真の傾聴とは単に黙って聴くことではありません。

相手の言葉の背後にある意図や感情、言葉にならない部分まで感じ取る力です。

実業家の中で特に信頼されている人に共通するのは、「質問の質」の高さです。

「あなたにとって本当の課題は何ですか?」

「それを実現するために、最も障害となっているものは?」

このような本質を突く質問ができる人は、相手の懐に自然と入っていきます。

傾聴力を高めるには「沈黙を恐れない勇気」も必要です。

タイの企業再建中、重要な決断を迫られた時、私は敢えて沈黙の時間を作りました。

するとオーナーが本音を語り始め、その言葉から真の解決策が見つかったのです。

第二章:信頼される実務力とは何か

1. 話すよりも行動で示す姿勢

  • 約束したことを確実に実行する
  • 言葉より先に体を動かす習慣
  • 困難な状況でこそ真価を発揮する

2. 数字の背後にある現実を見る目

  • 表面的な成果だけでなく過程を重視
  • 現場に足を運ぶ頻度が信頼を生む
  • リモートワーク時代の「現場感覚」維持の工夫

3. 約束の価値を理解している

  • 小さな約束こそ最も重要
  • 期限を守る習慣が信頼を構築
  • 「できない」を正直に伝える勇気も必要

口より行動、数字より現場

経営者たちが口を揃えて言うのは「言うだけの人間は信用できない」ということです。

「週明けに資料を送ります」と言って本当に送ってくる人、「検討します」と言って具体的なフィードバックをくれる人が信頼されます。

アパレル業界の経営者は「うちの業界は華やかに見えるが、結局は地道な積み重ねが全て。派手な提案より、一つひとつ形にしていく人を評価する」と語りました。

特に重要なのは「困難な時の行動」です。

2008年のリーマンショック時、多くのビジネスパートナーが連絡を絶つ中、「どうすれば一緒に乗り越えられるか」を考え行動した人々は、その後大きな信頼を獲得しました。

数字だけでなく、その背後にある現場の実態を理解することも不可欠です。

食品メーカーの工場長は「本社からの指示が現実離れしていると感じた時、実際に工場に来て一日作業を見てもらったことで理解が生まれた」と振り返ります。

小さな約束を守ることが生む信頼

「大きな約束より小さな約束を守る人を信頼する」というのは、多くの経営者に共通する意見でした。

会議の開始時間を5分前に到着する習慣、メールは24時間以内に返信する原則、資料は期限内に過不足なく提出する—これらの「小さな約束」の積み重ねが信頼の基盤となります。

銀行との融資交渉で成功した中小企業経営者は「3年間、毎月の報告書を一度も遅れることなく提出し続けたことが、最終的に銀行の信頼を勝ち取った」と明かしました。

約束を守れないことが予想される場合、事前に正直に伝えることも重要です。

「期限に間に合いそうにありません」と早めに連絡できる人は、実は高く評価されます。

これは「問題を隠さない誠実さ」の表れだからです。

失敗の共有が生む”共闘”の空気感

意外にも多くの経営者が「失敗を率直に認め、共有できる人と働きたい」と語りました。

失敗の隠蔽ではなく、「なぜ失敗したか」「どう改善するか」を共に考えられる関係性が、深い信頼を生みます。

私自身、タイ進出時の苦い経験を社内で共有したことで、後輩たちとの関係が一変しました。

「鈴木さんでさえ失敗するんですね」という言葉をきっかけに、部下たちが自分の失敗も隠さずに相談してくれるようになったのです。

ある建設会社の役員は「我々の業界では失敗が命取りになるが、だからこそ小さなミスを素直に報告できる風土が重要。その風土は、リーダーが自らの失敗を認める姿勢から始まる」と強調していました。

失敗の共有から生まれる「共に問題を解決する」という共闘感が、実は最も強い信頼関係を築くのです。

第三章:「この人となら変化を乗り越えられる」と思わせる要素

ビジネス環境の激変期において、「一緒に仕事をしたい人材」の条件も変化しています。

かつての日本企業では「堅実さ」「慎重さ」「前例踏襲」といった特性が重視されていました。

しかし今日、500人の実業家への取材から見えてきたのは、「変化を恐れず、しかし軸をぶらさない」という一見矛盾する特性の重要性です。

パンデミック、デジタル革命、価値観の多様化—これらの波を乗り越えるために、経営者たちは新たな同志像を模索しています。

柔軟さと粘り強さを両立できる人

「コロナ禍で生き残った企業に共通するのは、変化への対応力と揺るがない理念の両立だった」

これは40年の歴史を持つ印刷会社の社長の言葉です。

同社はパンデミック中、印刷需要の激減に直面しながらも、オンラインコンテンツ制作へと迅速に軸足を移し、同時に「情報を形にする」という創業以来の理念を守り抜きました。

柔軟性と粘り強さを両立できる人材の特徴として、経営者たちは以下の点を挙げています:

  1. 変化を「脅威」ではなく「機会」と捉える思考態度
  2. 失敗してもすぐに次の行動に移れる「回復力」
  3. 最終目標を見失わない「戦略的視点」
  4. 困難に直面しても「諦めない執着心」
  5. 状況に応じて手法を変えられる「適応力」

特に印象的だったのは、ある飲食チェーンの創業者の言葉です。

「コロナで全店舗を閉める危機に直面した時、共に残った幹部たちには共通点があった。方法は柔軟に変えながらも、『お客様の食卓を豊かにする』という理念だけは決して手放さなかったことだ」

自分の軸を持ちつつも、時代に学ぶ姿勢

経営者たちが求める人材の条件として、「自分なりの価値観を持っていること」と「常に学び続ける謙虚さ」という二つの要素が頻繁に挙げられました。

「自分の軸がない人は、どんなに有能でも最後は信頼できない」とITベンチャーの創業者は言います。

同時に、「自分の経験だけが正しいと思い込む人とは仕事をしたくない」と語る経営者も多くいました。

ここでいう「自分の軸」とは、単なる頑固さではありません。

長年の経験から培われた価値観や判断基準を持ちながらも、新しい情報や視点を吸収し、必要に応じて自分の考えを更新できる柔軟性を意味します。

特に、若い世代から学ぶ姿勢の有無は、経営者たちの人材評価において重要な判断材料になっています。

「年齢や立場に関係なく、良いアイデアを素直に認められる人は、長期的に見て組織に大きな価値をもたらす」と50代の製造業経営者は強調します。

パンデミックで証明された”しなやかなリーダーシップ”

COVID-19のパンデミックは、多くの企業にとって未曽有の危機でした。

しかし、この危機を乗り越えた組織には、特定のリーダーシップパターンが見られました。

それは「強さ」と「しなやかさ」を併せ持つリーダーシップです。

ある中堅商社の役員は次のように語りました。

「パンデミック前は『強いリーダー』を求めていた。しかし今は『しなやかなリーダー』が必要だと痛感している。状況が刻々と変わる中で、方針を適切に修正しながらも、組織の団結力を保てる人材が真の実力者だ」

このような「しなやかなリーダーシップ」の特徴として、経営者たちは以下の点を指摘しています:

  1. 不確実性を受け入れる勇気
  2. 迅速な意思決定と柔軟な修正のバランス
  3. 弱さや不安も適切に共有できる透明性
  4. チームメンバーの多様な才能を引き出す力
  5. オンライン・オフライン双方の環境で信頼関係を構築できる能力

特に注目すべきは、パンデミック前後でリーダーシップの定義が変化したことです。

「危機下でこそ、本当に一緒に仕事をしたい人が見えてくる」という言葉は、多くの経営者に共通する実感でした。

第四章:実業家が語った「仕事を共にしたい人」のリアルな声

2007年、私が商社を退職して初めて中小企業の経営者取材を始めた頃のことです。

当時の私は「成功法則」を聞き出そうと意気込んでいました。

しかし、ある老舗の菓子メーカー社長に「成功の秘訣は何ですか?」と質問すると、予想外の答えが返ってきました。

「私の成功?いいえ、私が今ここにいるのは、適切なタイミングで適切な人と出会えたからです」

この言葉をきっかけに、私の取材の焦点は「成功の法則」から「人との出会いと信頼関係」へと変わりました。

日本の伝統と革新を融合させたブランド戦略で急成長を遂げた森智宏氏も、同様の視点を持っています。

「最低でも日本で一番」という座右の銘のもと、適切な人材との出会いと信頼関係構築が事業拡大の鍵であると語っています。

以来15年、500人を超える経営者に「最も信頼する仕事相手」について尋ねてきた中で、印象的なエピソードを紹介します。

印象に残った言葉・行動・エピソード集

関西の中堅製造業社長は、こんなエピソードを語ってくれました。

「創業30周年の式典で、私が『これからの30年も』と挨拶していると、会場の後ろから『60周年も一緒にやりましょう!』という声が。振り返ると、20年来の取引先の専務でした。彼とは最初の取引で大失敗をしましたが、『失敗から学びましょう』と一緒に原因分析してくれた人です」

東京のITベンチャー創業者は、元部下についてこう語りました。

「私が最も信頼している彼は、社内で唯一『それは違うと思います』と私に言える存在。自分の意見を持ちながらも、決断後は全力でサポートしてくれる。このバランス感覚が私には不可欠なんです」

石川県の旅館経営者が忘れられないのは、地震後の出来事だそうです。

「ある常連客が『大丈夫ですか?』と電話をくれ、さらに『予約はそのままにしておきます。再開したら必ず伺います』と。その言葉だけで再建への勇気が湧きました」

「この人に任せたい」と思った瞬間

北海道の農業法人代表は、新入社員だった現在の幹部との出会いをこう振り返ります。

「彼が入社3日目、突然の雹害で畑が全滅しかけた時のことです。指示も出さないうちに、彼は長靴を履いて畑に飛び出していました。後で『なぜ?』と聞くと『考えるより体が動きました』と。その瞬間『この人に任せられる』と確信しました」

愛知県の部品メーカー社長は、取引先の営業マンについてこう語ります。

「彼は当社の工場を知り尽くしていました。ある日『御社の第二工場の成形機、そろそろメンテナンスが必要ではないですか』と具体的な提案があり驚きました。自分の商品を売るだけでなく、私たちの業務を理解し、本当の意味で役立とうとする姿勢に感銘を受けました」

九州のアパレル会社経営者が語ったのは、デザイナーとの忘れられないやり取りです。

「新ラインの企画会議で、彼女は私の案を全否定しました。その理由が『これでは御社の理念に反すると思います』というもの。そして代替案を提示してくれた。自分より会社の理念を優先できる姿勢に、全幅の信頼を置くようになりました」

年齢や経験を超える”信頼の条件”とは

興味深いことに、多くの経営者が「信頼できる人」の条件として、年齢や経験年数よりも本質的な特性を挙げていました。

ある70代の老舗企業社長は、20代の若手社員について語りました。

「彼は入社2年目だが、『なぜそうするのか』を常に考えている。単に言われたことをこなすのではなく、目的や背景を理解しようとする姿勢が信頼につながる」

別の経営者は「信頼は肩書ではなく行動から生まれる」と強調します。

「役員でも信頼できない人はいるし、新入社員でも絶対に任せたい人がいる。結局は『言ったことを実行する』『問題を隠さない』『自分のことより会社や顧客を優先する』という基本的な誠実さが信頼の本質ではないか」

特に印象的だったのは、外資系企業の日本法人代表の言葉です。

「私が最も信頼するのは、『言いたくないことを言える勇気』と『聞きたくないことを聞く覚悟』を両方持っている人間だ。年齢や国籍は関係ない。この誠実さこそが、どんな時代や環境でも通用する”信頼の条件”だと思う」

第五章:若手とベテランをつなぐ”共感”のヒント

若手世代とベテラン世代の間には、価値観や働き方に関する「見えない溝」が存在します。

一方では「若い人はすぐに辞める」「指示待ち症候群だ」と嘆くベテラン。

他方では「古い考え方に縛られている」「変化を恐れている」と批判する若手。

しかし、実業家500人への取材を通じて見えてきたのは、世代間の違いを超えて「共に仕事をしたい」と思わせる共通項の存在です。

ベテラン世代の価値観若手世代の価値観共通する価値観
組織への忠誠心自己実現の重視「意義ある仕事」への情熱
年功序列の尊重実力主義の志向公平な評価への期待
長時間労働の美徳化ワークライフバランス効率的な働き方の追求
職場と私生活の分離個性の表現としての仕事自分らしさと専門性の両立

世代間ギャップの乗り越え方

「昔は…」「若い頃は…」という言葉で会話を始めると、それだけで若手の心は閉じてしまいます。

逆に「最新の技術なしでは…」「古い考え方は…」という発言は、ベテランの抵抗感を強めるだけです。

ある人材育成会社の代表は「世代間の対立は『どちらが正しいか』ではなく『どちらも異なる経験をしてきた』という理解から解消される」と指摘します。

世代間ギャップを乗り越えるヒントとして、経営者たちは以下の点を挙げています:

共通体験の創出

「プロジェクトの成功体験を共有することで、年齢を超えた信頼が生まれる」とITベンチャーの社長は言います。

世代を混合したプロジェクトチームや、合宿形式の研修など、共通の体験を作る機会が重要です。

相互メンタリングの導入

「若手が先輩にデジタルスキルを教え、先輩が若手にビジネスマナーを教える」という相互メンタリングの仕組みを取り入れた企業では、世代間の壁が大幅に低下したそうです。

価値観の言語化

「働く目的」「成功の定義」「理想の組織」について、世代を超えて語り合う場を定期的に設けている企業では、互いの価値観を理解し受容する文化が育まれています。

「価値観の共有」から始まる仕事関係

「最終的に信頼関係を築けるかどうかは、価値観の共有にかかっている」

これは多くの経営者に共通する意見でした。

しかし、ここでいう「価値観の共有」とは、すべてにおいて同じ考えを持つことではありません。

「なぜ仕事をするのか」「何を大切にするのか」という根本的な部分で共感できることが重要なのです。

ある出版社の編集長は、世代間の対立が深刻だった部署の改革について語りました。

「まず『私たちはなぜ本を作るのか』という問いから対話を始めました。その過程で、『読者に新しい視点を提供したい』という共通の思いが見つかったんです。価値観の根っこが同じだと気づいたとき、表面的な対立は薄れていきました」

信頼関係構築の第一歩は、相手の価値観を探る質問から始まります。

「あなたにとって理想の仕事とは?」
「最も大切にしていることは?」
「どんな瞬間にやりがいを感じますか?」

これらの問いへの答えから、世代を超えた共感ポイントが見つかります。

若い実業家が求める”共に成長できる相手”

注目すべき変化として、若手経営者たちが「メンター」に求める条件が変わってきていることが挙げられます。

かつての「師弟関係」的なメンタリングから、より対等な「共に学び合う関係」へとシフトしているのです。

「私が求めるのは、自分の考えを押し付けるのではなく、私の考えを引き出してくれる人。そして時に『それは違う』と正直に指摘してくれる人」

これは30代のベンチャー企業創業者の言葉です。

全国の若手起業家100人へのアンケートによると、「理想の相談相手」の条件として以下の項目が上位を占めました:

  1. 自分の経験を絶対化せず、状況に応じた助言ができる
  2. 自分も学び続ける姿勢を持っている
  3. 失敗体験を包み隠さず共有してくれる
  4. 自分の可能性を信じ、背中を押してくれる
  5. 対等な関係性を築こうとする

特に「共に成長できる関係性」を重視する傾向は、今後さらに強まるでしょう。

若手起業家のひとりは「私が最も信頼する先輩は、『私もあなたから学んでいる』と言ってくれる人。その謙虚さが、実は最大の強さだと思う」と語っています。

まとめ

500人の実業家との対話から浮かび上がった「一緒に仕事をしたい」と思われる条件は、決して複雑なものではありませんでした。

基本に忠実であること、約束を守ること、誠実であること—これらの普遍的な価値が、時代や世代を超えて信頼の基盤となっています。

同時に、変化の激しい現代社会においては、柔軟性と軸のバランス、学び続ける姿勢、世代を超えた対話力といった要素も重要性を増しています。

私自身、商社マンとして15年、ライターとして18年の経験を通じて感じるのは、「信頼される人材」の本質は時代が変わっても変わらないということです。

それは「相手の立場に立って考え、言ったことを実行し、困難な時こそ本領を発揮する」という、シンプルながらも実践の難しい資質です。

コロナ禍を経て、働き方や価値観が大きく変化する中、「人と人との信頼関係」の重要性はむしろ高まっています。

オンラインでもオフラインでも、最終的に仕事を動かすのは「この人となら」という信頼感なのです。

本稿が、読者の皆様の「仕事の信頼関係」構築の一助となれば幸いです。

最後に、500人の経営者たちから最も多く聞かれた言葉を紹介して締めくくります。

「結局、一緒に仕事をしたいのは、困難な時でもグラスを半分満たされていると見る人だ」

最終更新日 2025年4月16日 by michidoo